「平成20年度 神奈川県地盤工学セミナー」開催報告

地盤工学学会 関東支部 神奈川G

大塚博(応用地質梶j

 

平成20年11月21日13時30分から17時において、「平成20年度 神奈川県地盤工学セミナー」を開催しました。本セミナーは地盤工学会の活動を広く知って頂く目的で開催しており今回で2回目の実施でした。本年度のセミナーのテーマは、@防災・復旧、A大型プロジェクトとし、各先生に講演をお願いしました。防災・復旧では、第1講演で国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所 小池信一様を迎え、「平成19年台風9号による西湘バイパスの被災と復旧状況」のご講演頂きました。海側の護岸1.0kmが崩壊するという甚大な被害を受けた西湘バイパスの被災要因から復旧までを、迫力ある被災直後の写真や復旧工事の状況写真を交えて講演して頂きました。会場からは、被災直後の迫力と甚大な被害状況に、身を乗り出してスクリーンを見る人が多く見られました。第2講演では、東京大学准教授 内村太郎先生に「市民防災のための安価で簡単な斜面警報機の開発について」ご講演頂きました。携帯電話と傾斜計を利用した斜面警報機の開発理念から、開発中の機器を用いての降雨時の大規模な室内実験結果、実際の地すべり地での設置状況などを分かり易く講演して頂きました。会場からは機器の適用や実験結果について質問があり、活発な意見交換が行われました。大型プロジェクトでは、第3講演で関西空港轄]村剛様に「関西国際空港2期空港島の建設と地盤工学」のご講演を頂きました。2期空港島は、今までにない大水深域での大規模埋立て工事でありながら、現在、圧密沈下予測が実測沈下と良く整合していると評価されており、今回の講演では、その解析を支える技術、粘土中のナノプランクトンに着目した地質学的調査による地層判定方法や、GPSを利用した埋立ての管理法による不同沈下の低減策等の講演して頂きました。その他にもコスト縮減策等も含め工事全体を通じての幅の広い講演して頂きました。その他、本セミナーでは、ポスターセッションを行い8名の学生が研究成果を発表し、こちらでは環境、土質、杭、地盤改良と多種多様のテーマで、ご来場頂いた方のほとんどが足を運んで頂き、意見交換がなされていました。セミナー全体を通じては、聴講者が31人とやや少なかったため、執行部としての告知方法が次回への課題として残りましたが、講演内容への聴講者の関心が高く活発な意見交換がなされ、非常に良い会となりました。参加して頂いた聴講者の中には、次回も参加したいが、このセミナーはどのくらいの頻度で実施しているのか、等の質問もあり、執行部としてはセミナーの成功を実感できる言葉も頂けました。神奈川Gではこのようなニーズに答え、今後も本セミナーを継続・発展させ、多くの聴講者を呼べるようにと考えております。

     

写真1 会場の様子                       写真2 ポスターセッション会場の様子