関東支部研究委員会の委員公募のお知らせ
「地盤工学のあり方―応用地質学と地盤工学の協働を考えるー研究委員会 」

 関東支部研究委員会グループ

 関東支部では、以下の研究委員会を、2019年度から活動期間3年間の予定で新規に設立します。本研究委員会の設立にあたり、以下の要領で委員を公募します。奮ってのご応募をお待ちしています。なお、定員を超えた場合には、産官学のバランスを考慮して選定させていただくことがありますので、あらかじめご了承下さい。

地盤工学のあり方―応用地質学と地盤工学の協働を考えるー研究委員会
  ≪1.設立の背景と趣意≫
 日本列島には、沖積地盤や火山性堆積物地盤が広範囲に分布する一方、脆弱で急峻な自然斜面、急傾斜地・崖地・地すべり地帯が数多く存在している。このため地震や豪雨に対して不安定であり、液状化・土石流・山崩れ・岩盤崩落・崖崩れなどの土砂災害が発生しやすい箇所が極めて多い。今後、さらなる気候変動によって集中豪雨や巨大台風の頻発が懸念され、南海トラフ地震等の大規模地震の可能性も高まっていることを考えると、地盤災害が日本社会に及ぼす影響はますます大きくなってきている。こうした状況を受けて、2007年度会長特別委員会は、「地震と豪雨・洪水による地盤災害を防ぐために」という地盤工学からの提言をとりまとめており、その中で地盤工学の発展とともに異なる学問・技術分野の協働の必要性を提言している。
 地盤工学の発展という点では、1999年の地盤工学ハンドブックにおいて、土質工学から地盤工学へ新たな体系化が図られて以来、各種指針・マニュアルや地盤力学を使った解析手法の整備が進んだ。近年では、スーパーコンピューターや並列計算を利用した数値解析技術、IT技術やIoT技術を活用した調査・計測技術、情報化技術等の急速な発展により、複雑な地盤構造物に関する耐震設計や広域な土工の無人施工管理が可能になるなど様々な発展を見せている反面、専門化・高度化・精緻化の様相を深めている。
 一方、異なる学問の協働という点では、実際に地盤災害の第一線で活動している多くの地盤技術者は、地形学・地質学を含む応用地質学的観点からのアプローチと、設計を含む土木工学等を踏まえた地盤工学的観点からの2つのアプローチが不可欠であることを痛感している。
 特に地盤災害という観点では、応用力学に立脚した地盤工学の変形・破壊の議論に、地盤の多様性・不均質性、風化・侵食による経時変化、および地形の成り立ち等の応用地質学的な理解を融合させることが本質的に重要である。
 しかし残念なことに、両者は同じ対象として地盤を取り扱っているにもかかわらず、未だにいわゆる「地質屋」と「土質屋」といわれる2種類の技術者が棲み分けるように分担している状況が続いている。つまり地盤災害を防ぐために求められている学問間の協働のうちでも、最も基礎となるべき応用地質学と地盤工学という2つの学問の協働が立ち遅れている。
 また技術分野の協働という点では、高度経済成長期の全国規模のインフラ事業を推進する上で、地盤技術をリードしてきた官界の、いわゆるインハウスエンジニアの空洞化が指摘される一方で、民間の地盤技術者は、調査・設計・施工・維持管理部門への分化・専門化が進むとともに、実務の現場では人材不足やデスクワークの増加などにより、フィールド軽視・過度のマニュアル依存・経験不足の傾向が強まっており、各分野の協働はやはり遅れていると言わざるを得ない。
 以上のような状況に鑑み、立ち遅れている異なる学問・技術分野の協働を推進するために、本研究委員会を立ち上げて、その協働のあり方、とりわけ地盤工学と応用地質学の協働と学問体系も含めた相互理解、ひいては両学問をベースにした地盤技術のあり方を明らかにするものである。そのためには,テルツアーギなど地盤工学の先人達の応用地質学・土質力学に対する考え方も参考にしながら、我々の日常行っている計画・調査・設計・施工・維持管理に関する技術についても、地盤工学の原点に戻って考えることも求められよう。
 なお本研究は、地盤工学のあり方に関わる大きな研究課題で、チャレンジングで先駆的ともいえるテーマであり、まず産学官の地盤技術者や地盤工学者が結集する地盤工学会関東支部という共通の場で活動し、その成果を全国に発信することにより,将来は地盤工学会全体の議論に発展させたい。
  ≪2.委員会の活動内容≫
 本研究委員会は、種々の困難な状況に置かれている地盤技術者の技術向上を図るとともに最近の地盤災害の激甚化に対応するため、異なる学問・技術分野の協働という観点から「地盤工学のあり方」について研究し、提言をとりまとめ、さらに論文発表やシンポジウム開催など、地盤工学のあり方に関する研究の活発化や成果の普及活動を行い、今後の地盤工学の発展を目指すものである。
 実際の研究委員会は、日本応用地質学会の協力も得ながら、地盤技術・地盤工学・応用地質学の現状に対する危機感を共有する多くベテラン・中堅・若手の地盤技術者、地質技術者、研究・教育者、インハウスエンジニアなどが結集し、それぞれの体験に基づく濃密な議論を展開し、お互いの分野の理解を深めながら、問題点を問い直し、社会が期待する地盤工学のあり方を研究するもので、最近の自然環境の変化や社会のニーズと強く結びついた研究である。
 その成果は、地盤技術者・地質技術者の技術向上を図るとともに、国民の期待に応える地盤技術・応用地質学・地盤工学、さらに望ましい技術者像を提案するものであり、今後の地盤工学をさらに進化・深化させ、社会でより役に立つ地盤工学の一助となると考え、皆様に協働を呼びかけるものである。
  ≪3.委員会の構成≫
 委員長 :末岡 徹((株)キタック)
 幹 事 :
菊本 統 (横浜国立大学)
  ≪4.研究期間≫
  2019年5月~2022年3月 (第1回委員会は6月に開催予定です)
 【応募要領】

 以下の項目をご記入の上、E-メールで下記の応募先までご連絡をお願いします。

 記入項目:氏名・所属・所属先住所・電話・Fax・E-mail・簡単な自己紹介文・当委員会活動を通じてあなたが取り組
 みたい事項の要約(A4横書き、原則1ページ以内、様式自由)
 なお、運営上などの理由により、人数に限りがあることはあらかじめご承知おきください。

 応募締め切り:2019年5月15日(水)

 応募先:公益社団法人地盤工学会関東支部事務局 青木(E-mail : jgskantou@jiban.or.jp)